直撃インタビュー!
長田真作が語る世の中のあれこれ

たぬき みなさんこんにちは! 記者のたぬきです。

 本日は絵本作家、長田真作さんにお話を伺いたいと思います。

 長田さんはデビューから現在に至る4年間で、約30冊の絵本を出版されてるスゴイ作家さんですよね。しかも美術や絵本の作り方について、特別な勉強も何もせず、ここまできているとか! どうしたらこんな人になれるのでしょう?! その秘訣を聞いてみましょう。

長田さん、こんにちは! 今日はよろしくお願い致します。

長田真作 はーい、よろしくどうぞ。

たぬき 長田さんはたくさんの絵本をつくったり、ファッションブランドとコラボしたりと、いろんな活動をされてますね。どうしたらそんなにスゴイ人になれるのでしょう?

 まず長田さんは10代の頃、どんな学生だったのですか?

長田 えーと、そうですねぇ。学生のときは……。

 まず、学校社会の仕組みってあるじゃないですか。人間関係とか、テストとか、いろいろと試され始めますよね。もうこれは社会の縮図ですよ。で、学校社会のなかでは、そういうことをうまくやったほうが良いなって、僕なりにも思うわけですよ。うまくやったほうがそりゃ楽ですから。

たぬき そうですねぇ。

長田 たとえば僕の高校のクラスでいえば、10人中 9人が大学に進学するとか、目の前の先生の言うことを聞いて、怒られたら次は直してくるとか。あと、宿題をやれって言われたら、どういう形であれ、やってくるとか。ギリギリまでやらない奴も、最後はノートを見せてもらってでも、なんとかやる。みんな「まっとうに」やってましたね。僕にはそれが難しかった。

 他にも不良なんかもいたりして、彼らは求められていることに対して、求められている形ではレスポンスしてないけど、その人なりにきちんと不良をやってるんです。つまり与えられたことに対して「反抗する」というベクトルをしっかり出している。先生とケンカしたり、服装を乱したり、タバコなんかわざわざ人前で吸ったり。

 でも僕はその両方とも、やりたくないんですよね。というか、やれないんですよね。先生や親に反抗したり、みんなが「良い」と言っているのに「嫌だ」とあえて主張するとかって、疲れるし面倒くさいし。一番良いのは、精神的にも行動としても「逃避すること」だなって思います。

たぬき 逃避? 逃げちゃうんですか?

長田 宿題でも何でも、「やれ」って言われてやるのって義務でしょ。でもそういうことから逃げることに対して、僕は楽観的ですね。だって「義務」って言葉があまりのしかかってきませんから。どこか納得してなかったんでしょうね、僕は。

 その反面、みんなは「やれ」って言われたら、どういう形でもいいからやらなきゃって思う。それってつまり、やらなきゃいけないという自分の恐怖や、不安のほうが勝っちゃう人が多いんでしょうね。

たぬき そうですね。「なんでやってないの?」って怒られるの、嫌ですもん。

長田 宿題を他の人にやってもらうことも、僕からするとサボり方が甘いな、サボってるうちに入らないなって思いますね。反抗とか反発のレベルではなくて、完全に人から諦められる、失望されるというレベルまでいかないと、本当のサボりとか逃避とは言えませんね。ま、誰も褒めてくれませんが。

たぬき そりゃ、褒めないでしょうね。

長田 僕は宿題をまったくやらないか、さも宿題が存在しないかのような顔で平然と過ごせる性質があるんですよ。もちろん、それが良いことだとは思いませんよ。でも取り残されるとか悪い成績をつけられることは怖くない。大げさに言うと、多くの人たちが擦り込まれてる「義務感」がないのかもしれません。本当にその義務は必要なのか、自分も従う必要があるのか、一度立ち止まって考察してました、僕は。

たぬき 「やりなさい」と言われたことは、本当に必要なのことか……。

長田 そういえば高校のクラス通信とかに、一人ひとり「次の目標」を書くコーナーがあったんです よ。みんなはシャープペンシルで「次の模試は数学を頑張りたい」とか書いてるんですね。「彼女をつくりたい」って書いている奴もいるけど、「彼女をつくりたい」だけ書いているんじゃなくて、普通のことを書きながら、最後に付け足しで、ちゃらつく感じです。

 でも僕はそこに筆と墨で、でかでかと、できるだけ目立つように「平常心こそ人生だ」みたいなことを書いてるんです。 そんな達筆じゃないのに。

まー、ほんと困ったもんですよ。

長田 僕みたいなのがいっぱいいたら、「学級」って崩壊してるかもしれませんね(笑)。

 僕からしたら、みんな器用なもんだなって思いますよ。宿題もこなしつつ、僕みたいな人間とも交流できるから。僕、そういう人たちに対して、なんか大変ねえって心の奥底では思ってました。いや、無理ですよ、いろんなことを滞りなく、きちんとこなすなんて……。ははっ、そんなヒマはないですよ、僕(笑)。

インタビューその2「ストレスなく集団生活を送るためには?!」につづく

いまさらですが、長田真作さんのプロフィール
 1989年、広島県呉市生まれ。
 著書に『すてきなロウソク』『きらめくリボン』『いてつくボタン』(アカルイセカイ三部作、共和国)、『光と闇と-ルフィとエースとサボの物語-』(集英社)など多数の絵本がある。ファッションブランドやミュージシャンとのコラボ、渋谷・ヒカリエでの絵本原画個展の開催(2018年1月)など、活動は多岐に渡る。
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